•  新しい京都のデザインを創出

出水の家/小さな庭の連なりと暮らす市中の山居
京都の街なかに建つ夫婦2人のための住宅です。 昔から職住が近接するこの地域を象徴するかのように、敷地の周囲には戸建て住宅やマンション、倉庫や事務所が隙間なく建ち並び、とりとめのない景観となっていました。 なかでも南隣の事務所と西隣の5階建てのマンションとの関係は、明るく開放的な住まいというご要望に応える上で、一番の課題であることは明らかでした。
すべての部屋が庭に面する間取り
まず初めに、すべての部屋が庭に面するように、東西に細長い敷地をさらに細長くふたつに分けて、南側を庭に、北側を建物にすることにしました。そして、そのままだと大きな空間を取りたい居間・食堂が収まらないので、そのボリュームだけ南側の庭に張り出すことにしました。 こうすることで、居間は東西ふたつの庭に囲まれて明るく風通しも良くなり、南向きに窓を開けずに済んだので南隣の事務所から覗かれることがなくなりました。
また、このボリュームを思い切って1.5階建てくらいの高さまで背を伸ばして、屋根の上に設けた高窓からも自然光を取り込めるようにしました。
次に、必要な部屋を順番に並べていくと、平屋では収まりきらなかったので、建物全体の半分くらいを2階建てにする必要が出てきました。 ここで、この2階建て部分を敷地の奥、5階建てのマンションに接する西側に持ってくることで、マンションの5階から見下されることがあっても、こちらの2階の屋根が見えるだけで、南側の庭や1.5階建ての居間・食堂の大きな窓が覗かれる心配がなくなりました。 それとともに、おもての道路側は平屋になるので、北側にお住まいのお隣さんの採光も妨げませんし、控えめで品の良い構え方になりました。