•  新しい京都のデザインを創出

 

暖簾は古来より日本の暮らしや商いの場に寄り添い、人々を迎え入れてきた象徴的な存在です。 その形に新たな可能性を見出し、扇の曲線を取り入れた「扇暖簾」を発案しました。
暖簾と扇はいずれも古くから京都にゆかりの深いモチーフであり、扇暖簾の思想は、古都・京都が培ってきた「伝統を守りながら革新を生み出す精神」と深く響き合うものだと感じました。 そして、本アワードのテーマである「京都的発想」と強い親和性を持つと考え、今回の応募に至りました。

コンセプト
扇暖簾は、千年以上続いてきた暖簾文化を再解釈し、新たな選択肢を提案するデザインです。 暖簾は人と場をつなぐ最初の接点であり、そのデザインは心理的な印象を左右するのではないかと考えます。
直線的な四角形ではなく、扇のように広がる半円を取り入れることで、閉ざすのではなく迎え入れる。 遮るのではなく、包み込む。空間に柔らかな開放感を生み、柔らかな形が人の無意識に語りかけます。
「人と空間をつなぐ境界」をコンセプトに、 暖簾文化を継承しながらも、新たな選択肢として提案します。

デザイン背景
暖簾は長く日本の商いや暮らしを象徴してきましたが、その直線的な形状は機能的である一方、 多様化した社会においては「閉ざされた印象」を与えることもあると感じます。 現代においては、より開かれた入口のあり方が求められているのではないかと考えます。