京都の通りをデザインする                                                           公益社団法人京都デザイン協会

三条通りを中心とした新たな京都観光の姿

1、京都をデザインする

京都は綜合的な芸術文化の都市です。
京都人のもてなしの精神を持った伝統ある生活文化、
町衆が協力して継承する祭や年中行事などのイベント文化、
平安から現代に続く都市と建築の文化、
伝統工芸の技に支えられるモノづくりの文化
四季折々の自然の恵みと調和した食文化
これらの活きた文化を発信し、人々と交流する情報文化など。
このような綜合的な文化が1200 年の長い歴史のなかで、育まれ、伝承され、
誇るべき 「綜合芸術文化都市・京都」として成熟してきました。

しかし、一方で、時代の持つ新しい波に晒され、分断され、
消え去りそうな文化も 少なくありません。
ときには時代と闘い、またあるときには時代とシクロしなければなりません。
そのためには、伝統を継承しながらも、自らの新しいエネルギーの補充と注入が必要です。
つまり、都市は生きています。

この生命ある都市のエネルギーの補充と注入の一つが「デザインする」ことです。
「デザインする」とは広義には「計画、企画する」という役割を持っています。

本協会は、京都のあらゆる文化のデザインジャンルを総合的に見直し。
具体的には
地域や通りなどの景観や建築を通じての環境のデザイン、 住民の生活文スタイルのデザイン、
新しい時代のモノづくりや情報デザイン、 などを複合的に展開し、
「綜合芸術文化の都市・京都」を総合的にデザインし、
提案することであると考えています。

2、「通り」をデザインする

京都は条里制の都市計画がしっかり守られていて、
それぞれ個性的な「通り」が西陣織のように縦糸と横糸となり、
歴史、文化の伝承が町内や地域に面的にも広がって、それぞれの界隈を形成しています。
京都の魅力は1200 年の歴史が積層されていて、「通り」を歩いているといろんな時代の
記録や記憶が呼び覚まされ、何度訪れても新たな発見があります。
何世代も伝承された生活文化に引き込まれます。
つまり、生活文化は「通り」をベースに育まれ、継承されてきました。
「京都をデザインする」ためのきっかけを、「通り」の持つ街の役割に注目し、
そのエネルギーを活性化するためのデザインが必要と考えます。

個性的な多くの通りを検討した結果、
「三条通り」が京都にとって 大変大きな役割を持っていることに気づきました。

江戸時代の東海道の起点でもあり、明治の近代化を支えた蹴上発電所、
寺町以西の近代建築群など、時代の節目に 新しいエネルギーを蓄え発展してきました。
今日では条理制時代の通りが時代の変遷とともに延長され、
東は山科四宮の旧三条( 旧東海道) あたりから、
西は太秦を経て嵐山の渡月橋北詰あたりまで繋がっています。

この約15km のおよぶ現代の三条通りには
多くのの商店街があり、それぞれ地域文化と共存しながら、個性を発揮しています。
また、南北に流れる京都の殆どの川と交差し、通りに自然のリズムを与えています。
加えて、東の京阪・京津線( 四ノ宮~ 三条京阪)、地下鉄( 山科~ 太秦天神川)、 京福電車( 三条口~ 嵐山)、
JR( 山科駅、二条駅、嵯峨嵐山駅)、阪急( 嵐山駅)、京阪( 三条駅) などの交通網との特徴ある連携がみられます。

この三条通りを「通りをデザインする」の対象として、調査、提案をすすめました。