京都に根ざした優れたデザインを発掘

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高井一郎
京都市立芸術大学教授
'94 Made in KYOTO 京都デザイン優品審査委員会委員長

審査講評

本事業は今回で5回目を数え、選定商品も累計300点を超えるまでに至り、その質、量ともずいぶん充実してきている。また、今回から事業の名称も「京都デザイン優品」に改訂され、内容の一新を図るなど新たな船出となった。審査にあたっても、これまでとは趣を異にする点も多々あったので、前回までとの違いといくつか気付いた点について述べてみたい。まず、今回から公募の対象商品が拡大され、新製品だけでなく伝統的なモノも含まれるようになった。申請商品を見ると、これまで染織品や家具など限られた分野しか申請がなかった伝統工芸の分野から、今回は瓦や仏壇といったものまで出てきている。これらがまた、単に伝統的であるばかりでなく、時代の要請に適ったものとなっていることは審査委員として非常に心強く感じられた。一方、医療機器や制御機器といったハイテク分野からの申請が増加したことも大きな特徴で、京都にもこうした分野でずいぶん個性を発揮している企業が育ってきていることを改めて認識するところとなった。また、申請された商品のレベルアップも著しかった。これは、今回から新たに導入された専門家推薦制度に起因していると思われるが、各分野のスペシャリストから推薦された商品、実用性、デザインはもちろん、機能性の面でも優れたものが多く、また、これまでにない業種、分野の多様化にもつながっており、ここにも新制度の効果が窺われた。さて、一般的にデザインの目指すところは、生活に関わるあらゆるものを対象として、これを新しく創出することにあると言えるが、今回の制度は、この方向にそって新たな可能性をつくり出したと言えよう。来年以降もこの新制度が定着し、内容がさらに充実して京都の優れた商品の発掘に一層役立つよう期待するものである。

審査委員


池田  毅 (社)日本パッケージデザイン協会理事
河北 秀也 (株)日本ベリエールアートセンター代表
坂下  清 シャープ㈱常務取締役
曽呂利忠男 阪急百貨店販売促進部長
高井 一郎 京都市立芸術大学教授
高橋 公子 日本女子大学教授
本郷大田子 (社)京都デザイン協会理事長
宮島 典男 松屋銀座本店家具家庭用品課
森岡 茂勝 兵庫教育大学教授
森山 明子 日経BP社にっけいでざいん編集長

ご協力いただいた推薦委員

荒川 祥子 スペースki主宰
小川 長楽 陶芸家
恩地  惇 (株)GK京都取締役副社長、京都工芸繊維大学講師
門脇 英純 マーケッター、成安造形短期大学造形学部非常勤講師
川人 一郎 (社)京都府物産協会会長、(株)川人象嵌代表取締役
高島 一子 スーパーコーディネーター、エディター
谷川  隆 (株)日商社取締役営業本部長
津田佐兵衛 京都物産出品協会会長、(株)井筒八ツ橋本舗代表取締役
中西まゆみ (協)京都クラフトセンター理事
中村 隆一 京都市立芸術大学教授
野田 伸三 京都伝統産業青年会相談役、通商産業省伝統的工芸品産業審議会委員
原  里江 成安造形短期大学アートプログラミング専攻科学生
久谷 政樹 京都芸術短期大学教授
増山 和夫 京都工芸繊維大学工芸学部助教授
松川 恵一 プランナー、(株)エニアックインターナショナル代表取締役
元橋 一裕 (株)フェイム編集長
大和 文昭 京朋(株)企画室「和座」室長
若林 広幸 建築家
(順不同・敬称略、役職は委員委嘱時のもの)