京都に根ざした優れたデザインを発掘

ごあいさつ

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 京都府の産業は、平安建都以来1200年の長い歴史と優れた伝統、高度な学問・文化により、育まれ、洗練された感性と時代を切り拓く創造力を持った先人達の努力により、大きく飛躍し、特徴ある発展をとげてまいりました。
 しかしながら、近年の経済活動のグローバル化、情報通信分野等におけるイノベーション、地球環境問題など、わが国経済を取り巻く環境は大きく変化しており、京都府の産業も対応を迫られております。
 京都府におきましては、このような産業構造の変革期にあって、21世紀に向けて新たな生活文化を創造・提案する京都産業の育成を図るため、京都産業技術振興構想に基づき、産業技術の高度化や産業デザインの振興を図っているところであります。
 この「Made in KYOTO京都デザイン優品選定事業」は、京都ブランド商品の普及啓発と開発に携わられる京都企業の皆様の意欲喚起を図るために、平成元年度から実施しております。
 今回400点に上る御応募をいただいた中から、「京都発」として、世界に向けて発信できる優れたデザイン商品を、厳正な審査を経て選定しました。
 是非、この機会に「京都デザイン優品」を御愛顧いただき、皆様の生活がより豊かで潤いのあるものになりますことを心から念願いたします。

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本郷 大田子
(社)京都デザイン協会 理事長

'97 Made in KYOTO 京都デザイン優品選定事業にあたって

 室町時代に描かれた「福富草紙」という絵巻物があるのをご存知でしょうか。
ちょっとした滑稽ものですが、そこに描かれた貧乏から裕福になった主人公の家の様子をみると、書院の棚の上には茶道具のセット、床に彩絵の施された火桶、その火桶に細工物の火箸、主人の側には果物を山と積まれた器と酒器、主人や妻そして召使の着衣とさらに壁の衣こうに掛けられたきものなど、当時の裕福度のシンボル的生活道具が伺えます。
 平安時代の貴族社会から、武士の台頭による庶民の広がりのなかに、デザインの優品が降りた時代のようです。
 京都産品のデザインの原点がここにもありそうな気がします。
時代の要求というか、社会の変化によって「もの」は人の心とともに動く、大きな変化をみせるものと、変化のみえにくいものそれぞれに、時代が文化として記しています。
 今回の選定に集まった400点のそれぞれも、この時代の変化を睨みながら、遠い昔にあるように、人々のくらしに夢を与えるものばかりでしたが、残念ながら多くの商品が次回の機会に臨んでもらう結果となりました。しかし、年々その価値の高まりを感じられずにはいられません。
 最後になりましたが、この企画は「京都デザイン優品事業」について、ひろく府民の皆様に知って頂くのはもちろんですが、いちばんのメリットは選定商品の販売促進につながる効果的な事業のひとつであると考えております。

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