京都に根ざした優れたデザインを発掘

技ではなく
文化として、
心に生きる
伝統

株式会社 半兵衛麩

 本店 〒605-0903 京都市東山区問屋町通り五条下ル上人町433
 TEL:075・525・0008(代)/FAX:075・531・0748

創業は元禄年間、三〇〇有余年、半兵衛麩は11代続く老舗である。この国では京都から始まった麩、この製造もまた技である。
半兵衛の麩はふつうのものとは違い、膨張しようとするグルテンの素材の性質をあえておさえ、なめらかな食感を出すという。しかし、この麩づくり、「一子相伝」というわけではないらしい。先代は「時代に合わせて変わっていかなあかんのに、技を教えても意味がない。麩づくりは研究するもの」と、息子に技術的なことは何も伝えなかった。「老舗といっても老いた店になってはいけない。老いたら死を待つだけ。代々続いているといっても一代ずつ、新しい店のつもりで店を守れ」という理由からだ。同じ麩の商いをしてもその時代に合わせ、その世代のものが研究、努力、精進せよ。父は子に麩づくりについては一切語らず、折りあるごとにただ商売の本質や人としての生き方を教えた。同じことをするだけならただの伝承でしかない。時代に合わせ、受け継いできたものを置き換えていくのが伝統である。その教えを守って現当主は今の時代に合った商品を考え、現代の食生活にも通用する麩をつくることで半兵衛麩の暖簾を守っている。商品のパッケージのデザインも自らが手がける。人にまかせるのが嫌なのではなく「自分の娘が嫁に行くのに、自分の手でこしらえをしてやりたい」という親心と同じだ。「不易流行」本質をかえず、常に世の中の流れを見て対処せよ。自信のある麩以外出荷してはいけない。先人が暖簾とともに残してくれた信用と技術を基本に、儲けるために麩をつくるのではない、おいしい麩を、お客さまに喜んでもらえる商品をつくることが半兵衛麩の商である。かたちとしてではなく、受け継がれる「こころ」に、半兵衛麩の伝統を見た。

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写真1
梅麩、ひさご麩、
糸かけ手まり麩

写真2
京麩シリーズ

写真3
麩・ゆばシリーズ