京都に根ざした優れたデザインを発掘

京都デザイン優品2005審査員

石橋勝利(株式会社アクシス 情報企画グループ編集長)
河崎隆雄(インテリアコーディネーター)
向井吾一(京都意匠文化研究機構代表)
山内陸平(京都工芸繊維大学名誉教授)
主催者審査員(社団法人京都デザイン協会)
  ・久谷政樹(理事長)
  ・優品実行委員

審査講評

山内陸平
(京都工芸繊維大学名誉教授)
 本年の出品された商品は、全体として例年に比し少し物足りたいものを感じました。
 それは、私の方が期待しすぎているのかも知れませんが、選定商品の少ないことにも表れています。
 出品される方はそれなりに努力されていることは十分分かります。また、選ぶ側の考えがはっきりしないこともありますが、選ぶ側の思いとかみ合わないというか、造られた意図が、出品の目的がはっきりしないことがあげられます。
 この時期に、単に「少しおもしろいモノ」ができたので、出品してみようという考えはわからないことはないのですが、商品ですから対象とする市場とその価格、製造上の特色、京都という冠の持つ意味などを再度考えることが必要でしょう。
 無責任なことになりますが、「京都優品」とは何かを選ぶ側もより明解にすべきときであると考えます。

河崎隆雄
(インテリアデザイナー)
 前回の初めての審査会では正直戸惑いました。何故かと言えば“京都デザイン優品”の公募対象商品が広範囲で多様な為でした。それらを一堂に審査する戸惑いは、今回もやはり感じたことです。それは、審査基準の判断を何処に置くか、ということにありました。
 そこで、私は審査委員として“京都”の“商品デザイン”の“優品”を審査するのではなく、商品仕入れバイヤーとして、京都の“商品展示会場”で「個々の商品を仕入れするか否か?」という視点で判断することにしました。これが私の審査の判断基準です。
 その結果は、審査基準に挙げられている6項目を満たす、商品バランスを持った“優品”が僅かと、審査基準の数項目を満たす“良品”に属する商品が数点有るというものでした。
 仕入れバイヤーとしては、仕入れるつもりで出かけたが「仕入れたいと思わせる、魅力的な商品が少ない」と感じた展示会でした。商品のトータルデザインよりも、技術の裏付けだけに頼った商品が多く目立ったという印象を持ちました。
 私としては、目立たせる為の確かな技術、これらを併せ持つ、魅力的な商品がより多く見つけられる展示会になって欲しいと、次回に期待しています。